セッションには様々な作法や暗黙の了解がありますが、その中でも初心者が目上の人にやってはいけない、やったら失礼にあたることを書いておきたいと思います。
初心者の方は記憶に留めておいてください。
経験者の方は「あーおれもそれやって怒られたよw」「やられてイラっとしたよw」と共感してもらえれば嬉しいです。
セッションのホストや明らかに自分より経験が上の人に「このテンポで大丈夫ですか?」とか「このチェンジで大丈夫ですか?」などと言うべきではありません。
たとえ今から演奏する曲があなたのオリジナルで他の人は初見で演奏するとしても、確実にあなたよりは「大丈夫」なはずです。
気難しい人ならこの一言でブチ切れる可能性もあります。
もちろんあなたは優しさからそう訊いたのでしょうが、セッションの現場で目上のミュージシャンに優しさを発揮する必要は基本的にありません。
進行を心配するあまり、過剰にキュー出しをする人がいますが、ある程度の経験者ならいちいちそんなことをされなくても流れで入るところはわかりますし、仮に失敗しても辻褄を合わせる技は持っています。
過剰にキュー出しをされると見下されているように思う人もいるかもしれません。
それに何より、やりにくいです。
アーティスト名やアルバム名を出して、「◯◯みたいな感じで」というのもあまり良い印象は持たれません。
別に何とも思わないよという人の方が多いでしょうが、中にはアーティストとして侮辱されたように感じる人もいるでしょう。
セッションのホスト役とはいえ、一人のミュージシャンとしてそのステージに立っているという自覚のある人は、「◯◯みたいに」と言われても嬉しくはないでしょう。
最後に、これだけは絶対に絶対にやってはいけないこと。
ソロでちょっと長めの休符を空けたり、一瞬迷っているような素振りを見せると「ロストした」と勘違いしてコードや小節を指摘してくる人がいます。
そういう人はだいたい初心者からちょっと上ぐらいの人です。
生徒さんでもたまーにそういう人がいますねw
これは本当に腹が立ちますし、ブチ切れられても文句は言えないほど失礼な行動です。
そもそもセッションのホストをしたり仕事として演奏やレッスンができるレベルの人はそうそうロストしませんし、仮にしたとしても必ず自分でリカバーできます。
ロストしているように見えるのは、おそらくその人なりに冒険しているのでしょう。
万が一ロストしてリカバーできなかったとしても、その時は自ら共演者に対して自分はロストしたというサインを出すはずです。
ですから、セッションで目上の人がロストしたように見えても何もしなくていいのです。
というか、同レベルあるいは自分より下の人に対してもやるべきではありません。
親切だと思っているのは自分だけで、やられたほうは相当気分が悪いです。
ましてや、観客の前でこれをやると、わざわざ「こいつ今ロストしたよw」とお客さんに教えているようなものです。
それが相手の価値を下げる行為であることを知るべきでしょう。
セッションのホストや経験値の高い人なら、ロストした人に対して普通にバッキングしている風に見せかけて今どこかを教えてあげるというテクニックを持ち合わせています。
ギターやピアノならわざとルートやテーマのメロディをトップに持ってきて目立つようにしたり、ベースならあえて単純なラインを弾いたり、ドラムなら各セクションの境目をいつも以上にフィルで際立たせたり。
僕もロストしたっぽい人がいたら、そうやってミュージシャンにだけわかるように工夫しながら今どこかを教えてあげたりしました。
ロストした人を助けるのなら、最低周りに気づかれないレベル、もっと言えばロストした本人にすら気づかれないレベルで自然にサポートできる技術を身につけてからにしましょう。