何かを作っているけどまだ無名の人が、自分や作品の認知度を上げるため、まず同じタイプのアーティストと仲良くなっていこうとするケースがあります。
ボカロならボカロをやっている人とSNSでつながり、相手の作品を褒めたりRTしたり、配信に行ったり。
そうすることで相手側も恩を感じて、同じようにこちらの作品を褒めてくれたり、活動を盛り上げてくれるだろう、そうやって相互扶助し合い、ファンを獲得していこうという作戦です。
僕も似たようなことをやっていた時期もありますが、(それをやらないといけないと思っていた)、すぐに『何か違うな』と感じ、やめました。
そして、今はそういった関わりをできるだけ少なくしています。
同種のアーティストと積極的につながると、どうなるのでしょうか?
最初は勢いがつき、楽しい日々が過ごせます。
SNSを開けば誰かからコメントが来ていたり、動画のPVが上がっていたり、フォロワーが増えていたり。
しかし、すぐに中身がないことに気づくはずです。
当然といえば当然で、関わっている人たちは自分も含めて仕方ないからそうしているだけだからです。
RTやいいね、作品チェック、配信への参加なども、だんだん義務を感じてしんどくなっていくはずです。
中には全然いいと思えない作品もあるでしょうし、いけすかないアーティストもいるはずです。
かといって、いきなりやめてしまうと感じ悪いし、なにより自分へのお返しがなくなるとダメージを受けるので続けなくてはなりません。
さらに、同種の人間が集まれば必ず派閥が生まれ、権力闘争に発展します。
誰につくか、どのグループに属するか、どのコミュに出入りするか、誰とコラボするか、断るか……。
そんなことで日々頭を悩ませるようになるでしょう。
さて、冷静に考えてください。
何か大事なことを忘れていませんか?
そう、ファンです。
クリエイター側にいない、一般の人のことです。
上記のごたごたって結局、アーティストの楽屋裏の出来事でしかないんですよね。
同種のアーティストを一生懸命籠絡しようとし、うまいポジションにつこうと努力すればするほど、(潜在的)ファンをおいてけぼりにしていることになるのです。
アーティストを目指しているのなら、アーティストとつながるよりも、(まだ見ぬ)自分のファンに向けてせっせと作品をUPしたり、ブログを書いたりするべきなんです。
ファンが0でも同じです。
まだ見ぬファンに向けてきちんと発信していれば、興味を持ってくれる人はいずれ増えてきます。
「まだファンがいないからアーティスト同士で盛り上げて…」というスタンスは、ある意味ファンに最初から背を向けているのと同じです。
事実、そういったスタンスの人たちやグループは、何年経っても状況はほとんど変わりません。
頭角を表す人は、だいたいそういった場を抜けてからです。
僕も馴れ合いをやめてからの方が「ファンです」と言ってもらえることが増えました。
SNSも自分のことだけに専念し、他のアーティストとやりとりは全くしていませんが、フォロワーはそんなに減っていませんし、少しずつ増えています(追記:2020年現在SNSは完全にやめました)。
レッスンも、最近は長期継続してくださる方が増えてきました(ここは関係ないかもしれませんが)。
何かをはじめたばっかりでまだ何の反応も得られず、不安な日々を過ごしているアーティスト志望の方は、安易に同業者と盛り上げるのをぐっと我慢し、まだ見ぬファンを思い浮かべて彼らに対して何かを発表していくようにしましょう。
そういった姿勢で活動していると、少なからず反応は得られるようになっていくと思います。