僕は、アーティストを目指す人はさっさと世間に打ちのめされておくべきだと考えます。
それが早ければ早いほどいいです。
なぜなら、そこからが全ての始まりだからです。
創作やパフォーマンスは、他人を楽しませるものです。
そしてそれは、果てしなく高く強い壁としてアーティストの前に立ちはだかっています。
しかし、最初はその壁すら見えていません。
だから楽勝だと思って楽器を始めたり、作曲や創作をしたりして、それらを意気揚々と発表します。
といっても、最初は友達に見せたり、内輪だけのパーティで発表したり、SNSで友達にだけ見せたりと限定していることも多いでしょう。
そういった場では、概ねいい反応が返ってきます。
なぜなら、相手は嫌われたくない、波風立てたくないと思っているからです。
さて、やっている本人はそれを理解しているでしょうか?
おそらく、最初からそこまで客観的に他人の反応を分析出来る人はいないでしょう。
そして、無意識のうちに(自分を傷つけないように)厳選された客の反応を見て、「いけるんじゃね?」と勘違いしてしまいます。
まあ、10代ではよくある話です。
そうして勢いを付けて、いざ本当の意味で「世間」に出たとき、当然リアルな反応が返ってきます。
いや、反応があればまだいい方で、多くは完全に黙殺されます。
それは、動員やセールスなどの数字として、あるいはレビューやツイートなどで突きつけられます。
最初に少し(あるいはけっこう)勢いがあった分、そこで強いショックを受けるでしょう。
そうして打ちのめされて立ち直れなくなる人も多いかと思われます。
しかし、冷静に考えると、厳選された友達からのリアクションよりも、世間からのリアクションのほうが本来の自分の価値、あるいはそれに近いものだとわかります。
友達やSNSのフレンド、フォロワーは褒めてくれるに決まっています。
それは「嘘」というより、関係性を崩さないための配慮だといえます。
その「配慮」の分、「世間」とはやはり違うものだと思うべきでしょう。
そうして、世間からのリアクションをきちんと受け止めてからがスタートだと僕は思います。
なぜなら、それが自分の前にたちはだかる壁だからです。
そして、その壁を正しく認識するのは、早ければ早いほどいいのです。
だから、アーティストを目指す人は、最初こそ内輪ではなく世間に対して何かを発表しましょう。
もちろんそれはとてつもなく恐ろしいことなのですが。