ジャズをはじめたのがたぶん18ぐらいで、今年で20年になります。
まあ、今は演奏はしていませんが。
最近ふと、”タイム”神話が崩壊したときのことを思い出しました。
たぶん、19歳ぐらいの話です。
それまでは僕も、タイムというものは正確であればあるほどいい、それ以外はダメだと盲信していました。
そんなある日、たまたまデクスター・ゴードンというテナーサックス奏者を知り、聞いてみることにしました。
映画が好きだったので、たぶん「Round Midniight」という本人主演のジャズ映画を観たのが最初だったと思います。
はじめて聞いた彼のCDは覚えていません。
さて、デクスターのCDを聞いて、僕はあまりの衝撃にぶっ飛んでしまいました。
それは、タイムがめちゃくちゃズレているのです。
ジャズ好きなら誰でも知っていますが、デクスターはめっちゃくちゃレイドバックして吹きます。
それも、「ちょっと遅れてるかも」程度ではなく、誰でもはっきりと分かるほど「ズレている」のです。
『なんだこれ? めちゃくちゃずれてるぞ! でもこの人って巨匠じゃなかったっけ?』
半ばパニックに陥って、当時習っていた先生に訊ねてみたんですが、その先生はなんかごにょごにょ言ってまともな回答はくれませんでした。
その後、いろいろあってちょっとずつ分かってきたんですが、僕の中で物理的なタイムが絶対ではないと初めて知ったのは、あのときです。
今考えればいい体験だったなと思います。
人から教えてもらったのではなく、自分で見つけ、自分で疑問に思ったことと、誰かからもっともらしい答えをすぐもらわなかったことで、その後もずっと自分で考えることができました。
こういう体験は年々し辛くなってきているんでしょうね。
だから今の子は正確なタイムしか知らないのでしょう。
興味ある人はデクスター・ゴードン聞いてみてください。
僕が好きなアルバムをあげておきます。