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サービス精神がない?? 一般の人がミュージシャンに求めるサービス精神について考えてみた


八幡謙介ギター教室in横浜

こちらのブログ記事について、ツイッターで一般(楽器やらない)の人からRTと共に「この人はサービス精神がないんだな」とよく言われていて、ずっともやもやしていました。

k-yahata.hatenablog.com

一方で、ミュージシャンの方からは「その通り!」と共感される。

で、改めてサービス精神というものについて考えてみました。

 

まず、サービスについて考えてみましょう。

サービスとは、

 

・対価をいただいたうえで、それ以上の物や価値を提供すること

・サービスするかどうかは提供する側の裁量に任されている

 

という二点が重要であると僕は思います。

対価をいただかないサービスはボランティアです(ただし、ボランティアには「無償でもやります」というやる側の意志があります)。

また、サービスとは、あくまでこちらがやりたいと思った状況、相手に対して行うものです。

やりたくないと思ったら、対価をいただいた分以上の物や価値を提供する必要は全くありません。

いずれにしても、重要なのはサービスする側の意志であることに変わりありません。

 

さて、「ミュージシャンに言ってはいけないこと」の内容に対し「サービス精神がない」という意見について再度考えてみましょう。

例えば、「ちょっと弾いて」がいい例でしょう。

「ちょっと弾いて」と言われて断ったり不機嫌になったりすると、(ミュージシャンのくせに)「サービス精神がない」と思われたり、ひどい場合は「この人は人を楽しませるのが仕事なのにそれができない、ミュージシャン失格ではないか」とまで言われてしまいます。

そう思われたくないから嫌でも何か披露するという人もいるかもしれません。

しかし、「ちょっと弾いて」を断ることは、サービス精神の欠如ではないのです。

既に述べたように、サービスとは対価を支払われることが前提です。

さらに、サービスするかどうかはこちらの意志に委ねられています。

ですから、ギャラももらえない、しかもだいたいにおいて失礼な頼み方である「ちょっと弾いて」に対しサービスする必要は全くありません。

 

さて、今度は角度をかえて考えてみましょう。

結論から言うと、「ちょっと弾いて」はミュージシャンを奴隷扱いしている証拠です。

大げさですか?

では、対価を支払う気もなく、また、相手の意志も確認せず一方的に労働を強制する行為って、奴隷扱いではなくて何と呼ぶのでしょう?

しかも断ったら相手の人格やミュージシャンとしての資質を否定するというモラハラもついてきます……

自分が同じことをされたら、と考えたことはないのでしょうか?

 

ミュージシャン側の視点に戻します。

「ちょっと弾いて」と言われたとき、だいたいのミュージシャンはこう言われているように感じます。

 

お前は俺たち一般人がずっと勉強勉強で窮屈な生き方をし、ようやく就職したら今度は社会の歯車になり汗水たらして労働に従事してきた間、ちゃらちゃらと音楽やってたまたまそれで食えるようになったんだろ?そうやって遊んで暮らしてきたんだから、ちょっとぐらい俺たちを楽しませるのは当然だし、むしろ義務だろ?いいじゃねーか、減るもんじゃないし、聞いてもらえたら嬉しいんだろ?ほら、弾けよ、歌えよ!……なに、弾けない?歌えない??お前は人を楽しませることができねーのか?じゃあミュージシャン失格だ!

 

と、こうやってプレッシャーをかけられ、ミュージシャンとしての資質まで問われてしまうので、「ちょっと弾いて」を断り切れない人もいると思います。

また、同様に「ちょっと○○」とあれこれ頼まれて断りきれず、ダメージを蓄積していく人もいるでしょう。

しかし、そういったお願いなど一切きく必要はありませんし、きかなかったからといってサービス精神がないということにもなりません。

なぜなら、サービスとは対価を支払われることが前提であり、しかもサービスするかどうかはこちらの意志に委ねられているからです。

だからずうずうしいお願いをされたら、心の中で『お前の奴隷じゃねーよ』と思いつつ、ミュージシャンとして誇りを持って断りましょう。

逆に、サービスしたいと思ったときは全力で行うべきでしょう。

 

音楽やらない方は、ミュージシャンにサービス精神を求めないでください。

初めて行った飲食店で自分から「サービスしてよ」なんて言わないでしょ?

ましてや、「無料で作れ」できなきゃ「サービス精神がない、○○失格!」なんて頭おかしいこと絶対言わないですよね?

サービスされたけりゃ通い詰めるか、サービスされるにふさわしい人間になる(そういう関係を築く)よう努力しますよね。

それと一緒です。

ただし、対価に見合った価値がミュージシャンから提供されなかった場合は、全力で非難して結構です。