ジャズギタリストは「何でも屋」です。
通常のソロやバッキングに加えて、ピアノのような複雑なヴォイシングを使ったり、ベースラインを弾いたり、パーカッションのようなアタックを加えたり、さらにはそれらを同時に行うことも可能です。
しかし、これらは全て本物には劣ります。
当たり前ですが、ヴォイシングではピアノには絶対適いませんし、ベースもやはり本物のベースのサウンドやグルーヴには到底太刀打ちできません。
ギターで行うこれらのプレイは、いわば代替案のようなものです。
しかし、いつからかジャズギタリストはこうした代替案としてのプレイを、本物さながら、あるいはそれ以上だと錯覚するようになってきたと僕は感じます。
『ベースがいなくてもギターで弾けるし』
『ピアノみたいなヴォイシングもギターで作れるし』
本気でそう思っているジャズギタリストはかなり多いはずです。
(本職のピアニストやベーシストからは失笑を買っているはずですが、親切に教えてくれる人はなかなかいないでしょう)。
そうやってどんどん他の楽器を排除し、気の合うギタリスト同士で行う馴れ合いの演奏、それがギターデュオです。
これについてはこちらをどうぞ。
ジャズギターとは、そもそもジャズの世界では中途半端な存在です。
バンドにいなくても何も問題ない楽器です。
そもそもがそういう立ち位置であるのに、背伸びをして「ベースも弾ける」「ピアノの代わりもできる」とあれこれやっても余計に空回りするだけです。
そうやって無理矢理できもしない役割を広げていくから、ジャズギターがどんどんよく分からない薄っぺらいものになってしまうのではないでしょうか?
ジャズギタリストはなんでもできるという幻想を一度捨て、ギターにしかできないことを追求するべきではないかと僕は思います。
ではジャズギターにしかできないこととは?
それは後ほどご説明します。