八幡謙介ギター教室in横浜講師のブログ

横浜のギター講師八幡謙介がギターや音楽について綴るブログ。

八幡謙介ギター教室in横浜
「一般コース」「プロ養成コース」
初心者/プロ志望対応
リンクをクリックしてHPをチェック!


最新刊「エレキギターの新常識」発売中
*Amazonカテゴリランキング(kindleストア - kindle本 - J-POP)1位!


KINDLEにてDLはこちらから


カテゴリ一覧

【連載中】
プロミュージシャンを目指す

【ジャズ】
はじめてのジャズ
ジャズギターがつまらない理由
ジャズに人が集まらない理由
ジャズのアドリブをやってみよう
ジャズ、ブルース、アドリブ

【ギター、機材関連】
ギター
ヴィンスト2経年変化報告
ギターの管理
ピックアップ
エフェクター
アンプシミュレーター
ギターの改造、リペア
機材

【奏法、フォーム、練習】
ピッキング
運指、フィンガリング
ギターの奏法、練習

【解説等】
コード進行、ヴォイシング
ギター初心者がこれからギターをはじめるために
譜面の書き方
ROOM335解説

【歌、歌詞】
歌詞解説
歌、ヴォーカル

【オーディオ】
オーディオ
はじめてのオーディオ

【音楽】
表現、創作、プロ
オススメの音楽、音楽ドキュメンタリー
音楽全般
音楽関連ニュース
講師演奏動画
アイドル
バンドクラッシャーの見分け方
日本人と西洋音楽

【その他】
人間、社会
雑談
八幡謙介ギター教室


ギターの音抜けについて 「抜けがいい」とはサウンドではなく「状態」である


八幡謙介ギター教室in横浜

ギターの「抜け」について再度僕の考えを述べておきます。

 

よくギターの売り文句で「最高の抜け!」とか「これほど抜けのいいギターはそうそうありません」みたいなのがあります。

これは、楽器それ自体が「抜け」を持っているという説明になります。

普通に考えればそれがありえないことであるとわかります。

 

まず、楽器は弾き手によって音は変わりますし、電子楽器ですからアンプによっても変わります。

誰が弾いても、どんなセッティングでも抜けるギターなど存在しません。

仮に、「これは絶対抜ける」という音を出せたとします。

しかし、それも状況によって変わってきます。

アンサンブルによっては抜けなくなる可能性があるし、会場によっても音は変わってきます。

このように、「抜け」は楽器そのものが持つ絶対的な概念ではないのです。

 

 

音が抜けるとはどういうことでしょう?

結論から言うと、抜けるとは「自分の楽器の音がアンサンブルに埋もれていない状態」です。

重要なのは、楽器の持つ「サウンド」や「音のキャラクター」ではなく、全体の中でのギターの「状態」であるという点です。

「抜け」を「サウンド(キャラクター)」と定義すると、どうしても楽器固有のものであると勘違いしてしまいます。

その結果アンサンブルを無視し、自分一人で抜ける音作りを模索するという無駄な作業に没頭してしまいます。

「抜け」とは、「全体の中でのギターの状態」なので、一人で抜ける音を作ることは不可能です。

もちろん、ベテランギタリストならアンサンブルや会場での全体のサウンドを予測することは可能ですが、それでも誤差は生じるでしょう。

 

 

これは単純に、経験を積むしかありません。

しかし、それではそっけないので、僕がバンドマンの生徒さんによく教える音作りをお教えしたいと思います。

まず、ベースの人にハイをできるだけカットしてもらいます。

そして、自分はローをカットします。

そうすると周波数の住み分けができ、全体で合わせたときそれぞれの音が抜けやすくなります。

コツとしては、ギター一本で弾いたときにちょっとペラいな、もっとローが欲しいなと感じるぐらいにすることです。

その「欲しいロー」をベースが補ってくれるので、全体では問題ないはずです。

ベースなら「もうちょっとハイを上げてブリンブリンいわせたいな」という気持ちを我慢します。

自分の楽器だけであらゆる帯域をカヴァーしようとすると、だいたいアンサンブルで抜けなくなります。

で、抜けないからさらにイコライザーを使うという悪循環に陥ります。

抜ける音が目的であれば、アンサンブルに混ざった「状態」を考慮して音を作りましょう。

ただ、スタジオでは抜けていたのに、ライブハウスで演奏したときは全然抜けなかった、あの会場では抜けていたのに、別の箱では全然だった……ということもあります。

そこはやはり経験が必要なのでしょう。