参加者からお金を取ってセッションを行うのは日本だけです。
もしかしたら韓国とか中国もそうなのかもしれませんが、西洋ではまずありえません。
僕がセッション修行をしていたアムステルダムでは、参加費はどこも無料で、参加者にはドリンク1杯サービスするという店も多くありました(2003年頃の話ですが、今でもたぶんそうだと思います)。
だから、アムステルダムにはお金のない音大生やミュージシャンを志す若者が近隣諸国からも集まり、こぞってあちこちのセッションに参加し、腕を磨いていました。
僕もその一人で、週5日セッションに通っていました。
無料だからそれができたのです。
毎回お金を取られていたらとてもじゃないけどそんなことはできなかったでしょう。
しかし日本ではどうでしょうか?
1回の参加費千円、2千円は普通です。
千円でも週1回通えば5千円、+ドリンク1~2杯に交通費で月1万円近くはかかります。
これでは貧乏学生はやってられません。
もちろんお店の都合も理解できます。
ただでさえ不景気なうえに、ジャズ人口はどんどん減ってきていますからね。
しかし、参加者が金を払ってセッションに参加するのが当たり前という状況は、肝心の参加者を減らす原因になっていると僕は思います。
参加者が減っているから客単価を上げるためにチャージを取り、するとまた参加者が減る……この負のスパイラルがどうにかなればいいのですが。
また、日本人の気質上仕方ないのかもしれませんが、どうも日本のセッションは馴れ合いに見えて仕方ありません。
みんな平等に、初心者にも優しく、誰も傷つかないように、演奏者には必ず暖かい拍手を……。
それはそれでいい面も沢山あると思います。
しかし、セッションには厳しい側面もあっていいと思います。
特にミュージシャンを志す者にとっては、馴れ合いはプラスになりません。
譜面厳禁、誰かが曲をコールしたら即開始、つまらない演奏には拍手なし、音楽的に空気読めないやつは無視……そういった状況でのセッションに参加することでミュージシャンは鍛えられていきます。
そういった厳しいルールのセッションがあると、自然と住み分けがなされ、初心者はあそこのセッション、少し腕が上がったらあの店、最終目標はあの店、とランクができてきます。
初心者は「今はこの店でならして、いずれあそこのセッションに行けるように頑張ろう」と明確な目標を持つことができます。
どこのセッションに行っても暖かく迎えられ、気分よく演奏できるという状況は、ギラギラした若者の牙を溶かしてしまっているように思えます。
まあこういうのはもう古いのかもしれませんが。
今現在セッションに参加している方は、あえて自分に負荷をかけてみることをお勧めします。
例えば僕がアムステルダムでやっていたのは、
・セッションが始まったら一番先に自分が弾く(順番が決まっていたら譲る)。
・自分から曲をコールしない。
・知らない曲が始まったらその場でなんとかする。
です。 譜面を見ないのは当たり前で、スコアとかソングブックを店に持っていくことすらしませんでした。 譜面を手にしていると、一瞬で全員から見下される感じでした。
ここまでするかどうかは別にしても、自分がやりたい曲は譜面を見ないとか、いつもと違うことを本番で試してみるとか、そういった負荷をかけたり、冒険してみることをお薦めします。
そうした参加者が多いと、セッションは自然と活気が出てくるものだと思います。