ロックやポップスでは、界隈(ミュージシャン、スタッフ、ファンなど)の評価と集客やセールスがだいたい比例しています。
しかし、ジャズは違います。
界隈で評価が高ければ高いほど客足は遠のき、音源は採算が取れないので制作すら厳しいという状況に追い込まれていきます。
なぜでしょうか?
それは現代日本ジャズ界の評価基準に由来しています。
現代の日本のジャズシーンでは、複雑かつ繊細なものがよしとされています。
歌心とスウィングを大事にしたシンプルで豪快な演奏は時代遅れとされ、現代日本のジャズ界隈では見向きもされません。
コード進行は可能なかぎり調性を崩し、ソロやヴォイシングはミュージシャンでも判別できないほどアウトし、リズムは揺らさず出来るだけ正確にかつ複雑なポリリズムを駆使して、タッチは繊細に、ミストーンを出さないように……。
界隈ではそんな演奏が高く評価されるのです。
たしかに、そういった演奏は凄いとは思います。
異常なほど高度なテクニックと見識、それに音楽的瞬発力がないとできませんからね。
けど、やっぱりつまんないんですよね。
だからマニアしか聞きに来ないんです。
こういった状況は、しばしばアーティストを勘違いさせます。
自分は清貧だ、この少数の観客は耳が肥えた本物のリスナーだ、俺たちは今ここで本物の音楽を作っているんだ! と。 だから違いますってwwwつまんないだけなんですってw
それに、清貧だの本物だのというのは、さもしい現状をどうにか納得させるためにある言葉であって、プレイヤー自身の願望ではないはずです。
だって、もっと客来てほしいでしょ?
もっと稼ぎたいでしょ?
これからジャズをやる方は、できるだけジャズ界の評価は無視した方が賢明です。
プレイヤーやマニアな方の意見は特に。
そういった方からの高い評価は死刑宣告だと思うべきでしょう。
そうではなく、一般の方が聴いてどう感じるかを判断基準にしましょう。
そうすると、必ず「大衆迎合」だとか「安っぽい」とか「そんなのはやりつくされている」と界隈から言われますが、気にしなくていいのです。
そして、一般リスナー(ジャズを知らない人)に評価されることを目指しましょう。
一般リスナーが聴きたいのは、豪快かつシンプルな演奏です。
豪快なリズムで体を揺らしてほしい、シンプルで分かりやすいフレーズで楽しませてほしい、そういう思いが必ずあります。
そのニーズに応える演奏をすれば、少しずつファンは増えるのではないかと思います。
ただし、ジャズ界隈からの評価は落ちます。
どちらを選ぶかはあなた次第です。