こちらの記事に対して、ミュージシャンの方から誤解を受けているようなので補足しておきます。
どんなに頑張っても初見で初顔合わせのメンバーがいれば、おのずと限界が生じます。
もしかしたら大事故になる可能性もあります。
そういった状況では、自然と音楽が成立した時点で「よかったよかった」とひとまず安心してしまい、大事故にならなかった=ライブが成功した、と錯覚してしまう傾向があると思います。
初見というシビアな状況では、演奏を「観客を楽しませる」というレベルまで押し上げることが困難となり、その場を成立させることに重点が置かれてしまいます。
つまり、観客がいないということです。
ただしこれは、ミュージシャンが怠慢だからそうなっているのではなく、演奏状況がシビアだからどうしてもそうなってしまいがちだということです。
これをもって僕はジャズの演奏を、その場を成立させるだけの「流れ作業」と称したのです。
改めて言いますが、個々のミュージシャンの真剣さを疑っているわけではありません。
また、実際に初見でも観客と向き合う素晴らしい演奏をする人たちは沢山いらっしゃると思いますが、そうやって予防線を張ったり、どこかに存在するであろう例外をいちいちあげていくと論旨がブレたり文章が重くなるので避けているだけです。
(この辺の行間を読める方と読めない方がいらっしゃるようです)。
また、いくらプレイヤーが「流れ作業じゃない!」と主張したところで、そう見えるものは仕方ありません。
それは演奏かもしれないし、譜面をめくるときの感じだったり、曲間のちょっとした間の悪さだったり、淡々とした様子だったり……自分にはやはり多くのジャズライブが演奏を成立させるという作業に見えます。
しかし、自分だけかなと思ったら、同じ感覚の方も多いようで、ちょっと驚いています。
では、「初見がシビアならリハを取ればいい」という話になりますが、ジャズにはそういった慣習はほとんどありませんし、本番前にリハをしたいなどと言うと絶対に嫌がられます。
僕だって嫌です(←この意識がダメなところです)
リハをしたいと言うと、自分の能力を疑われていると誤解して怒るミュージシャンもいるかもしれませんし、ほとんどの方はその分のギャラを要求するでしょう。
それを払うのもきついからやっぱりやめとこう、となります。
まあそれ以前に、リハをやらない9割の理由は「めんどくさいから」でしょうが…。
最後に、僕の「流れ作業」発言に不快感を感じた方には申し訳なく思っています。
しかし、僕自身ジャズをやっていては楽曲を大切にできないという感覚がいつからか生まれたのは事実で、ある程度これに共感してくださるプレイヤーの方もいらっしゃるみたいです。
ジャズの現場で音楽を成立させ、観客も楽しませ、そして楽曲を愛で、育てていくという方法があればいいのですが、僕にはわかりません。