ジャズ界で大御所とかレジェンド扱いされているアーティストのライブを高い金払って何度か観たことがありますが、ほとんどつまらなかったです。
なんというか、やる気ないのが伝わってくるんですよね。
とくに海外勢は。
まだ十代の頃、滋賀の田舎でジャズミュージシャン目指して日夜練習していた僕は、アルバイト代を貯めて大阪の某所に、あるレジェンド級のジャズミュージシャン(アメリカ人)のライブを観にいきました。
(滋賀から大阪まで出るのは結構大変なんです)
しかし、その内容には本当にがっかりしました。
ジャズ初心者でも知っている超有名スタンダードを、1セットまるまる使ってメドレーでやるだけ。
メインのレジェンドの人も実に淡々としていて、全く覇気を感じません。
僕には『どうせお前らはこの辺の有名スタンダードやってたら喜ぶんだろ?』と、彼の心の声が聞こえてくるようでした。
まだ大して弾けない、耳も肥えていない僕は、必死で『この人はレジェンドだ、ジャズの歴史そのものだ、だからこのライブは素晴らしいんだ!』と自分に暗示をかけながら聞いていました。
が、終わってからも、そして十数年経った今でもやはりあれはつまらないライブだったと感じます。
まあ、この方はムラがあることで有名で、往年のジャズファンは「今回の彼のライブは当たりだった」とか「今日はハズレだった」と、ワインのように出来不出来を楽しんでいるようですがw
他にも、アレンジが音大生みたいで拍子抜けした人や、例によってMCがつまんない人、歳だからか自分の演奏が終わったら完全に気を抜いてほっこししてしまう人、などなど。
大御所のライブは、ほとんどが淡々としている印象で、熱い演奏に身を乗り出すといった経験は、まだありません。
まあ僕もあらゆるジャズライブを全て観てきたわけではないですし、地元が田舎なので、都会の人に比べたら観た数は圧倒的に少ないと思います。
でも逆に言えば、それだけ一回一回を楽しみにしているわけです。
特にジャズは、これを逃したらもう永久に観られないかも、という人が多いですから。
で、期待して行ったらやる気ない演奏だったということが何度か続き、個人的には大御所のライブはあまり行く気がしません。
僕と同じ意見の人は、実は結構多いのではないでしょうか?
しかし、それもなかなか声を大にして言えない空気があります。
大御所だから、レジェンドだから素晴らしいはず、それが分からないのは自分の耳が肥えてないから、大御所のライブを否定すると白い目で見られる、オールドファンからバカにされるかも……そういう空気ってありますよね。
実際、ひどいライブを観た後、一緒に行った人に「あのリーダー(超有名プレイヤー)の演奏どう思いますか?」と訊いたら、相手が苦い顔をして口ごもってしまったことがあります。
よくなかった、と言いたいけど言いにくいんですよね。
あと、レジェンド級のプレイヤーを批判すると、その楽器のプレイヤーから反撃されることが多いですから、余計に言いにくいというのもあります。
しかし、つまんないライブはつまんないです。
大御所とか新人とかは関係ありません。
この辺は西洋人はシビアです。
どんなに大御所でも、西洋ではつまんなかったら自然と淘汰されていきます。
まあ、だから日本に出稼ぎに来るんでしょうが……。
日本人は演奏そのものに加えて、プレイヤーの背景や歴史なども含めて評価する傾向があります。
ライブがつまんなくても「この人があの伝説の○○のバンドを支えていたのか…」と自動的に付加価値を加えて感動するという特殊能力を日本人は持っています。
だからやる気のなさに定評のあるプレイヤーでも、名前だけでホールが埋まったりするんでしょう。
つまんないものはつまんないと言う、そして面白いもの、いいものを評価する。
それだけでも今より少しはジャズが活気付くんじゃないでしょうか?