ジャズを聞きに行きたい、いきつけのジャズバーを見つけたい、そういう方は結構いらっしゃると思います。
きょうび居酒屋でもジャズがかかっているぐらいですから、ジャズへの興味はそれなりに高い(低くはない)と考えていいはずです。
しかし、気軽にジャズバーに入れる人はそれほど多くないと思います。
なぜでしょうか?
そこには、多くの「なんとなく」が潜んでいる気がします。
なんとなく高そう、なんとなく怖そう、なんとなく敷居が高い、なんとなくまだ自分には早い……。
そして、よく考えてみると店側もこの「なんとなく」な雰囲気を無意識的に出しています。
サイトの写真や、店長のプロフィール、ブログ、オーディオの紹介などで『俺は筋金入りのジャズファンだ、オーディオファンだ、なめんなよ』という空気を出しています。
ジャズを聞いたこともない人はそれを見て「なんとなく自分にはまだ早そう」と思うでしょう。
もちろん、アットホームで愛想のいいお店や店長さんもたくさんいらっしゃいます。
が、そういったお店はどちらかというとジャズ以外の音楽もやっていたりしますw
ジャズのお店はだいたい、「うちは硬派だ、一見は来るな」という空気を(たぶん無意識に)出しつつ、「もっとお客さんに来てほしい、初心者大歓迎!」という願望を持っています。
矛盾です。
そしてその矛盾を棚に上げて、世間のジャズへの冷たさや、音楽ファンの耳のつたなさ、現代の音楽シーンの衰退ぶりを嘆いています。
しかし、ジャズファンが思う以上に実は世間はジャズに興味があります。
今や居酒屋はおろか、ラーメン屋でもジャズがかかっていたりしますし、各地で行われている地域に密着したジャズフェス、ジャズストは盛況だと聞きます。
恐らくそれは、「ジャズを聞きに行きたい、でも専門のお店は怖い、いつもよく行くあの店やこの店でジャズをやっているなら……」というニーズにマッチしているのでしょう。
たぶん、ジャズのお店は、いわゆる「ジャズのお店」的な雰囲気や店構えをキープしたまま、それが受け入れられる社会や音楽シーンを求めているんでしょう。
そんな日は未来永劫来ないと思います。