楽器のトレーニングなどで、「最短距離で上達する」といった謳い文句がありますが、長い目で見たら意味がありません。
そもそも私にはこの「最短距離」が何なのかわからなかったので今まではこういったフレーズを無視していたのですが、最近ようやく理解できました。
「最短距離で上達する/したい」と言っている人は、上達にゴールがあると思っているのです。
まずその認識が間違いです。
上達は、続けていればどこまででも可能であり、「ここまで」という限界がありません。
上達にゴールは存在しないのです。
ゴールが存在しないもの、到達できないものに最短距離も何もありません。
ですから「最短距離で上達」という言葉は成立しないのです。
ちなみに僕にとっての「上達」の定義は、「以前の自分ができなかったことができるようになり、知らなかったことを理解できた」ことです。
例えば、Cメジャースケールが弾けない人が弾けるようになったら「上達」です。
じゃあ仮にこれがゴールだとしたら、Cメジャースケールが弾けるようになるまでの最短距離があるのかというと、これは「あるけど、関係ない」と言わざるをえません。
Cメジャースケールを簡単に覚える方法はあるのでしょうが、簡単に覚えることで中身が失われることも考えられます。
逆に、Cメジャースケールを3ヶ月かけてようやく覚えたとしましょう。
一般的には上達が遅いことになりますが、3ヶ月かけたことにより速く覚えた人よりもCメジャースケールについて深く理解できているかもしれません。
そう考えると、ゴールに速く到達することの意義が分からなくなってきます。
若いうちは、とにかくあせって速く上達しようともがいてしまいがちですが、そうやって練習したり取り組んだことはだいたい後で使えないことが判明します。
ですから、あせらずに自分がやりたいと思った曲や練習にじっくりと取り組むことが大事です。