先日たまたまあるブログを読みました。
内容は、中学で楽器にのめり込み、大学で挫折しその後何年かして回想したものです。
若い人らしくいろんな感情が入り交じった文章でしたが、行間から読み取れたものは、「結局楽器なんてものは裕福で時間があるやつにしか習得できない」というひがみでした。
文章で一生懸命それを消そうと努力はされていましたが、行間からは隠せていませんでした。
この「裕福で時間があるやつ楽器上達する説」は昔からあります。
確かに、経済力と時間は楽器の習得や音楽活動にとって何にも代えがたい武器になりますし、そうした恵まれた人が楽器を習得してプロになっていくというケースも確実に存在します。
しかし、金と時間があったにもかかわらずものにならなかった人たちはその何十倍、何百倍といます。
僕も実際に何人も見てきました。
そこでひとつ確信したことは、上達する人、プロになる人は、なんであれ自分の置かれた環境で最大限の努力をするということです。
経済力はともかく、時間がある人が最大限努力したら、それは最強でしょう。
一方、同じ人に仮に時間がなかったとしても、やはりその中で最大限の努力をするでしょうし、そういう人は時間のない中で何をすれば楽器の上達につながるかを一生懸命考えて工夫するはずです。
その結果、能力はしっかり伸びていくと思います。
また、時間のある人(実家住みでバイトしなくてもいい、など)が何も削らずにたっぷりの練習時間を捻出していると考えるのも間違いです。
確かに、家事やバイトをしなくてもいいとなれば時間はたっぷりできますが、その分様々な誘惑があります。
友達の誘い、ゲーム、ネット、TV、恋愛……裕福で時間がある人ほどそういった誘惑は多いと思いますが、プロになるまで努力した人は、それらをきっちり管理し(あるいは管理され)、練習に時間を費やしてきたということです。
それは誰にでもできることではありません。
重要なのは、時間というアドバンテージがあるだけで楽器は上達しないということです。
そもそもの本人の努力があって、プラス時間、そしてその時間を管理する能力が合わさってはじめてアドバンテージとなります。
しかし上記のブログの人もそうですが、貧乏暇なしのせいで楽器が習得できなかった、その結果プロになれなかった、最終的にやめてしまったという人は、皆「お金はともかく、時間さえあれば自分も…」という文脈で過去を振り返ります。
はっきり言いますが、時間があっても結果は同じです。
きつい状況で何かを目指して頑張っている人は、ついつい「○○さえあれば」と考えてしまいますが、その「○○」を手に入れたところで今の自分は変わりません。
まずは今の自分が今の状況で最大限できることをしているかどうかを見直してみましょう。
まあ、プロになった人はそのときそのときの状況に合わせてなんとかやってきた人ばかりで、そんなに恵まれている人は実はいなかったりします。