八幡謙介ギター教室in横浜講師のブログ

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はじめてのジャズ 37 ソニー・ロリンズ考

ジャズのアドリブについてある程度理解が進むと、僕は必ずソニー・ロリンズの話をします。

というのは、星の数ほどいるジャズミュージシャンで、おそらく彼が一番ギリギリのアドリブをしているからです。

そういった意味で、ロリンズは最もジャズらしいインプロヴァイザーだと言えるのではないかと僕は考えます。

以下はただ単に僕が感じたことなので裏付ける資料もなにもありません。

 

普通、アドリブが一人前になってくると、頭の中で想定したフレーズを想定したタイミングで次々に出していきます。

そうすることでアドリブはまるで作ったソロのように流麗に、かつ堅実に演奏することができます。

ジャズに親しんでいる人は、「かっちりしたアドリブ」と言えばなんとなく想像できるでしょう。

こちらは安定感は抜群にありますが、どこか置きに行った感があり、その分つまらなく感じます。

熟練のジャズファンやミュージシャンならなんとなく展開が読めてしまうので、サプライズ感も薄くなります。

 

一方、その正反対に位置するのがロリンズです。

ロリンズのアドリブは一聴すればどこか頼りなげで、危うくて、その場しのぎのようで、聴いている方が不安になることもあります。

ですから僕も最初は全然好きになれませんでした。

もちろんジャズの大御所中の大御所なので凄い人なんだろうなとは最初から分かっていましたが、そうでなければ一笑に付して無視していたかもしれません。

しかし、最近になってロリンズの本当のすごさが分かってきました。

 

まず、ロリンズは先に見えている音やフレーズを吹きません。

例えば今何かのフレーズを吹いていて、次の小節からⅡーⅤに入るとします。

一人前のプレイヤーなら当然今の流れから次に何を吹くか頭に複数の選択肢が浮かんでいて、その中のベストなものを瞬時に選び、今のフレーズから上手につなげていきます。

そうすることで「かっちりした」安定感のあるアドリブになっていきます。

ロリンズも当然次のフレーズは見えているはずです。

しかし、彼はあえてそれを無視するという選択肢を選んでいるように思えます。

そしてギリギリまで待ち、”今”という瞬間に出てきたものをそのまま吹いているように聞こえます。

例えるなら、かっちり系のプレイヤーは1秒前に頭の中で組み立てたフレーズを演奏するのに対し、ロリンズは本当に”今”フレーズを出している感じ。

だからタイムが一瞬揺れたり、吹ききれていなかったり、うまく次につながらないこともあります。

あるフレーズをモチーフにする際も、それをどこまで使うか、どこで次に行くか自分でも分かっていないのでしょう。

だから時々うまく使いきれずに消化不良になることもあります。

その結果、安定感や流麗さは薄れてしまいますが、誰よりもギリギリのところで行われる本当のインプヴィゼイションを楽しむことができます(やってる方はしんどいでしょうが)。

マイルスもそれに似ていますが、マイルスはある意味メンバーに頼ることが多いのに比べ、ロリンズは個人技としてのギリギリ感を突き詰めているようにも聞こえます。

 

自分が「ジャズとはギリギリのスリルを楽しむものだ」と認識できるようになった辺りから、こうしたロリンズのソロがようやく味わえるようになってきたように思えます。

ロリンズは下手したらマイルス以上にジャズの超上級編なのかもしれません。

 

ジャズ初心者も往年のファンも、ジャズミュージシャンも、一度改めてロリンズを聴いてみてください、

「見えている音をあえて吹かずにギリギリまで待って”今”出たもので勝負している」という観点で聴いてみると新しい発見があると思います。

 

余談ですが、ギリギリまで待って“今”アドリブするという仕掛けは教室でも教えているので興味のある方はぜひお越しください。

 

 ロリンズのオススメアルバムはこちら。

SAXOPHONE COLOSSUS

SAXOPHONE COLOSSUS

 
The Bridge

The Bridge

 

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