以前こちらの記事でジャズの精神とは<逸脱>であると述べたところ、様々な反響がありました。
上記記事ではさらりと触れただけでしたが、本シリーズでは改めてジャズの精神について深く掘り下げていきたいと思います。
実は<逸脱>とは、ジャズに限定したものではなく、黒人(以下、アフロアメリカンの意)が持つ独特の精神です。
ご存じの通り、黒人は我々日本人と違い、きっちりかっちりしたことを好みません。
一番イメージしやすいのはファッションではないでしょうか?
黒人ファッションはいつの時代も前衛的で、ちょっとやりすぎで、一見めちゃくちゃなようでいてなぜかキマっているという特徴があります。
わざとオーバーサイズの服を着たり、ど派手な色を身につけたり、変な着崩し方をしたり、キャップをわざとずらして被ったり……。
いずれにせよ、彼らは普通ではない着方を好む傾向があります。
スポーツでも黒人は基本に忠実なプレイよりトリッキーなものを好みます。
また、黒人が使う英語もかなり独特で普通と違っていたりします。
その他あらゆる場面で「はみ出しているのが格好いい、(わざと)間違っているのが格好いい」という文化を黒人は持っています。
もちろん、みんながみんなそうではないし、地域によっても違いはあるでしょうが。
このように、<逸脱>とはジャズの精神というよりは黒人の精神なのです。
そして、その黒人精神が生んだ音楽がジャズだということをまず知っておきましょう。
ジャズは黒人精神から生まれた音楽なので、ジャズから黒人精神を切り離すことはできません。
仮にそうしてしまったらそれはもうジャズではないのです。
例えば、剣道は日本の精神が強く反映された競技であり、その精神を学び実践することが剣道を学ぶことであると日本人なら誰でも知っています。
単に勝ち負けを競うだけのスポーツになってしまえばそれはもう剣道ではありませんよね?
それと同じです。
だから黒人精神を抜きにしてジャズを学ぶことも演奏することもできないと僕は考えます。
その黒人精神こそ<逸脱>です。
もちろんこれは僕の解釈ですが、先日の記事でかなり多くの方がシェアし、納得していたことを鑑みれば、それなりにいいところを突いているのだろうと自負しています。
ジャズに興味がある人は、一度視野を広げてまず黒人精神としての<逸脱>(普通と違うところ、トリッキーなところ)を探してみましょう。
どんな分野でもすぐに見つかると思います。
そこから改めてジャズに目を向けるとまた違ったものが見えてくると思います。