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ギター教室 横浜 八幡謙介ギター教室講師のブログ

ギター講師八幡謙介のギター、音楽感をつづるブログ

歌詞や文章を心に引っかかるものにするためのコツ

先日の記事の続きです。

k-yahata.hatenablog.com

他人の心に引っかかる歌詞や文章とはどういったものでしょうか。

またそれらを他人の心に意図的に引っ掛けるコツなどはあるのでしょうか。

実は、あります。

ポイントはふたつ。

ひとつは、誰も知らない全く新しいものを書くこと。

もうひとつは、自分だけかもしれないと誰もが思っている事を探り当て、公にすること。

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誰も知らない全く新しいものを書くと、他人の心にはかなり引っかかりやすくなります。

その分反応も大きくなるので、批判や中傷等も出てくるでしょうが、それらも含めてかなりのリアクションが期待できます。

ただしこちらは、仮に成功したとしても、一瞬のブームで終わってしまう可能性は高いです。

 

もう一つは、純文学で基本あるいは最低限のハードルとして用いられる創作の手法です。

有名なものだと、太宰治の「人間失格」です。

この作品を読んだとき、誰しもが自分の心の奥底にあるものを作者が覗き込んで小説にしたのではないかと思ってしまいます。

しかも、不思議なことに、「人間失格」を読むと、自分だけの苦しみをわかってもらえていると万人が感じるのです。

「自分だけ」だと「万人」が感じる、ここがポイントです。

 

単なる作者自身の苦しみを書くだけでは、他人は「ふーん、大変なんだ」ぐらいにしか感じません。

また、特定の人にしかわからない苦しみを書いても、それらの人以外はやはり関心を示そうとはしないでしょう。

一方、誰もが持つ当たり前の苦しみを書いただけでは内容が軽過ぎます。

ポイントは、誰もが自分だけだと思いこんでいるが、その実万人が持つ苦しみを深く掘り下げ公にしたということです。

そうすることで、ひとりの人間の心に深く深く引っかかると同時に、万人の心にも深く深く引っかかるというある意味矛盾した現象が発動します。

 

こちらも、新しいことを書くのと同じ位大変な作業です。

しかし、やってやれなくはないことだと思います。

何かを創作し発表しているのに、いまいちリアクションが起こらないという方は、いちどそういった点を見つめ直してみると、新たな方向性が見えてくるかもしれません。

 

余談ですが、この純文学に対する基準(のようなもの)は、福田恒存訳・「老人と海」の福田氏のあとがき『老人と海の背景』で学びました。

このあとがきで、ヨーロッパ文学とアメリカ文学の対比、純文学における登場人物と舞台背景の関係、主題の変遷、といったことが一発で頭に入ります。

本文はまぁどっちでもいいですが、このあとがきは名文中の名文だといえます。

よかったら読んでみてください。

あとがきは新潮文庫のものです。

もしかしたら差し替えられているかもしれないので、よく調べてからご購入ください。

老人と海 (新潮文庫)

老人と海 (新潮文庫)

 

 

人間失格

人間失格

 

 

人間失格 (角川文庫)

人間失格 (角川文庫)

 

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