八幡謙介ギター教室in横浜講師のブログ

ギター講師八幡謙介がギターや音楽について綴るブログ。

ギタリストがあまり知らないドラムの役割


八幡謙介ギター教室in横浜

ベースに続き、ドラムの役割について簡単にご説明します。

k-yahata.hatenablog.com

ドラムの役割は、

 

・タイムキープ

・場面転換

・キュー

 

この3つだと僕は考えます。

タイムキープは言うまでもないでしょう。

ちなみに、ドラムがタイム(もちろんそこにグルーヴがある)をしっかりと提示し、ベースがそれに対して前後させることで全体のグルーヴが決まると僕は解釈しています。

 

場面転換について。

ドラムという楽器は、単体で存在する楽器の複合体です。

ちょっと前までは「ドラムセット」とよく言ったものです。

今でも言うのでしょうか?

ドラム(セット)で使われるスネア、ハイハット、タム、シンバル、バスドラムなどは元々それぞれがひとつの独立した楽器です。

クラシックのオーケストラを見ればわかるでしょう。

そして、それらの複合体であるドラム(セット)は、一見全てを同時に叩いているようで、実は場面ごとに使う楽器を変えています。

ゆったりとしたAメロならバスとハイハットとスネアのリムだけ、サビではバスとスネアとライドシンバル、などなど。

そうした楽器の組み合わせによって、映画のように場面が切り替わります。

ドラマーはそうやって楽曲全体をコントロールしています。

ただ単にタイムをキープしているだけではありません。

コード知らなくていいから楽だね、などと言おうものならぶちキレられますよw

 

最後に、キューです。

ドラマーは、場面の切り替えの際、必ずキューとしてフィルを入れます。

一昔前でいう「おかず」です(今はもう死語でしょうがw)。

例えば、AメロからBメロに変わる直前、Bメロからサビに入る直前など、場面が切り替わる1~2小節前に「はい、これから場面が変わりますよー」というキューとして、絶対に何らかのフィルが入っています。

これは100%と言ってもいいでしょう。

このキューを聞き逃している人が多いように思われます。

楽曲が覚えられない、展開をよく忘れてしまうといった人は、ドラムのフィルを聴くようにしましょう。

せっかくフィルをしっかり入れているのに、ギターが展開を間違ったりすると『あ、こいつドラム聞いてねーんだな』と思われます。

ドラマーとしては、相当虚しく感じるのではないでしょうか。

一生懸命みんながやりやすいようにフィルを入れているのに、ちゃんと聞いてくれていないんですから…

そういったことがメンバー同士の溝をちょっとずつ広げてしまったり、脱退、解散にまで発展するケースもあるでしょう。

誰でも、ちゃんと自分の音を聞いてくれる人とやりたいですからね。

 

「ドラムは場面転換にフィルを入れる楽器である」と分かれば、それをアドリブに応用することも可能です。

アドリブでソロをとっているとき、ドラムに場面転換のフィルを入れさせるために、早めに「このコーラスで終わるよー」という意志を伝えておくのです。

それがきちんと伝わるとドラマーは『あ、これで終わりか、じゃあ大きめにフィル入れて次の頭でダイナミクス落としておくか』と、余裕を持って全体をコントロールすることができます。

そういった意志の疎通がなく、コーラスのど頭でソロが終わってしまうと、フィルも入れられないし、頭に入っているのに急に楽器やダイナミクスを調整しないといけなくなるしで、ガタガタしてしまいます。

それは自分のせいじゃないのに、後で「あのドラマーちょっとな」とでも言われようものなら、たまったもんじゃありませんよね。

「あいつのせいで俺の評価が下がった」と恨まれないためにも、ドラマーの役割を知り、それをきちんと果たせるようにこちらもソロを取るべきでしょう。

そうすると好感を持ってもらえるし、またやろうとお誘いをいただけるかもしれません。

実際にそうして、ドラマーから仕事をもらったこともあります。

 

他の楽器の役割をきちんと知ると、自分の演奏にもダイレクトに影響してきます。

だから僕は横浜のギター教室でドラムやその他の楽器のこともよく教えます(テクニックではなく役割について)。

ここで書いたことを知らなかったという人は、好きな楽曲のドラムをじっくり聴いてみましょう。

きっと新しい発見があるはずです。