横浜ギター教室のジャズの生徒さんに、歌詞の通りにテーマを弾くという課題を与えています。
目的は、テーマをきっちり”歌”にすること、そして、楽曲の雰囲気で弾けるようになることです。
歌詞を覚えてその通りにテーマを弾くと、インスタントにジャズになってくれます。
まあ、当たり前ですよね、英語なんだし、ジャズのために作られた歌なんだし。
それともうひとつ、歌詞の通りに弾いたあとそのままアドリブに入ると、驚くほど自然な流れが生まれます。
ジャズのアドリブの、あのとってつけたようなフレージング、くっさいリハモ、しらじらしいアウトは自然と出なくなります。
なぜかというと、歌詞を歌ったことで自分の中に世界観が既にできているからです。
その世界観を壊さずにすーっとアドリブに入れて、しかも流れが途切れなくなるので、とても自然な時間が流れていきます。
僕にとってはこれが音楽です。
生徒さん自身も、流れや自然さを作るのに四苦八苦してきたのですが、歌詞を歌ってからだと今までの苦労が全て消し飛んで、いきなり自然なアドリブを獲得し、びっくりされていました。
とはいえ、このアプローチは古いですw
楽曲の解体みたいなことは40年代にはもう 始まっていたようですし、歌詞の世界観を大事に、というアプローチは、レスターヤングの時代まで遡ってしまいます。
ジャズミュージシャンは「そんな古いの今どきねーわw」と嘲笑するでしょう。
では、新しいジャズはどうなってますか?
楽曲を解体し、原曲の世界観を無視し、リハモだのアウトだのといった解釈の解釈をごてごてと盛り付け、落ち目のスポーツ選手がするドーピングのように他ジャンルのエッセンスを注入する”コンテンポラリー”なジャズに一般リスナーが誰も興味を示さない状況をかんがみると、そのアプローチが行き詰まっている、もっと言えば間違っているとわかります。
プレイヤーさんも、「この先に何もねーな」と実は分かってるんでしょ???
とまあそんなことを考えると、原曲の世界観を大切にし、歌詞を覚え、歌詞の通りに歌うことを第一義としたジャズの弾き方も、一周廻って新しいと僕は思うので、そういう弾き方を教えています。
何より、歌詞をちゃんと歌うと、理屈抜きに音楽している実感に満たされるので気持ちいいというのが一番ですが。
そしてそれはアドリブにも如実に表れます。
やってみたいという方は一度レッスンにお越しください。