今置かれている状況を変えるために政治に奔走(先輩や有力者とコネを作る、など)するのではなく、今の状況で最大限なんとかした方がいい、というのがこれまでの流れです。
そして今回は、今置かれている状況からステップアップするために必要なことについて。
世の中に何かを発表するとき、必要なのは何でしょうか?
お金のかかった宣伝?
有名人のプッシュ?
特殊な生い立ちや持病など?
まあそれらも有効かもしれませんが、結局資金や組織力、そしてそれに頼った宣伝ができないと無理ですーーつまり、ほとんどの人は”今”の状況でそうしたものに頼ることができません。
では、持たざる者が扱える武器は何か?
それが覚悟です。
極論すると、覚悟を持って何かを作ったり公表したりすると、一切宣伝しなくても自然と話題になります。
もちろん、日本中が湧くほどではありませんが、ネットを中心に拡散され、知名度がワンランク上がることは十分起こりえます。
それは、<覚悟>の度合いと比例していると僕は思います。
では僕は実際に何をして、どういった反応を得たのか?
一番最初に<覚悟>を持って書いたのは、「ギタリスト身体論」です。
これははっきりいって、無名の田舎講師が書いていい内容ではありません。
なにせ、それまでのギターの奏法や考え方をほぼ全部否定していますからね。
ぜひ出版までこぎつけたい、でもこれが出版されたら俺はたぶんギター界から総スカンを食らって追放されるだろう……、そうやって怯えながらも一切妥協することなく(表現を濁すことをせず)書き上げました。
次に書いたのが「ギタリストのためのハーモニー」です。
こちらでは、それまでの理論の学び方や耳コピのやりかたを否定し、新しい学び方、考え方を提唱しています。
あと、この本で僕は勝手に音楽理論用語を作り変えました。
だって、理論用語って横文字で分かり辛いし……。
内心「うわぁ、こんなことやって大丈夫かよ…」と思いつつ、やはり妥協せずに覚悟を持って振り切りました。
こちらも刊行当初から反応はよかったんですが、2016年になって有名ユーチューバーの瀬戸幸司さんに取り上げてもらい、認知度が広がりました。
そして御存知、「ジャズに人が集まらない理由」をブログで掲載しはじめたところ、ものすごい反響がありました。
覚悟という点でいうと、この記事がいちばん要しました。
毎日ゲ○を吐きそうになりながら、「これ言っちゃうとジャズミュージシャンに嫌われる、もう二度とジャズシーンとは関われない」と悩みつつも、一切妥協せず奥の奥までえぐるように記事を書いていると、あっという間に拡散され、あちこちで驚き、怒り、称賛、嘲笑、など様々な感情の声が聞こえてきました。
「よくぞ言ってくれた」「言えないけど自分も思っていた」という声も多く、そういった人たち(中にはびっくりするような著名なミュージシャン)がフレンド申請などをしてくれたりしました。
上記の3つは、いずれも「出したら追放される」「言ったらコロされる」という覚悟を持って挑んだものです(追記:その後も同じようなヤバいことを何度も書いています)。
これは、そのつもりでやるということではなく、本当にヤバいことを突き詰めていったときに自然と出てくるものです。
そういった覚悟のある作品には、人を惹きつける何かが宿ります。
だから、特別宣伝しなくても広まっていってくれます。
コネも金も知名度もないアーティストは、覚悟を持つしかないと僕は思います。
誰も知らない無名のアーティストが、どこにでもあるような歌を歌い、演奏をし、どこかで聞いたような台詞や、誰でも言えるような発言をしていて、誰が気にかけてくれるのでしょう?
無名だからこそ、覚悟を持って、これをやると社会的にコロされるというところまで突き詰めてやるべきです。
それをやりきったとき、宣伝なんかしなくても絶対に何らかのリアクションは起こります。
ただし、その覚悟は本物でないとダメですよ。
僕も、上記以外の作品はほぼ全てダメでしたが、今考えるとそれらには覚悟が足りなかったと思えます。
(シリーズ終り)