今回は、楽器の上達と人間関係について。
楽器が上手くなりたければ、もっと言えば、プロになりたかったら、自分よりも上の人と遊んでもらえるようになりましょう。
単純に年上の人や、自分より上手い人、あるいは既にプロ活動している人などとつるむよう心がけておきましょう。
同じレベルの人や同年代の人は結局レベルや価値観が近いので、音楽のことを相談しても有効な答えが返ってくることは期待できません。
一方、自分より上の人は自分の悩みを既にクリアしている可能性が高いので、有効なアドヴァイスをもらえることが多いでしょう。
また、上の人からは自分の認識をしばしば更新してもらえます。
10年前に先輩から言われたことが今はじめて分かった、という経験は誰しもあると思います。
しかし、いつまでも同年代でつるんでいるとそんなアドヴァイスを受ける機会もなく歳を取ってしまいます。
同年代とつるむと、居心地はいいんですが、自分が頭ひとつ出てしまったとき、周りから必ず足を引っ張られます。
僕も十代の頃、これにずいぶん悩まされました。
今でもネット上で僕の足を必至に引っ張る人がいますが、特定するとやはり同年代であることが多いので不思議なものです。
自分は向上心を持って音楽と向き合っているのに、周りはそれほどでもない、もっと熱い人たちと音楽をやりたい、でも仲間を抜けると「裏切り者」だの「見捨てた」だのと人格否定をされるから怖い……。
そうやっていつまでも同年代のグループから抜け出せない人も多いのではないでしょうか。
しかし、上の人とつるんでいると、そうやって足を引っ張られることはほとんどありません。
(ごくたまに、後輩の芽を摘むような人もいますが、同年代の足を引っ張る率に比べれば少ないはずです)。
自分より上の人たちは、自分が上達したらその分もきちんと受け止めてくれます。
向上心のある人は、足を引っ張られることを見越して、同年代グループとはずぶずぶにならないように気を付け、自分より上のグループにかまってもらえるようにしておくと、伸び伸びと成長できるはずです。
年上のミュージシャンと接していると、なぜその人が仕事があるのか、ないのか、なぜ稼げているのか、いないのかがよくわかります。
ひとつだけ例を挙げると、仕事があり稼げているミュージシャンは皆気さくで礼儀正しい人ばかりです。
それが分かったら、真似をすればいいのです。
同年代とだけつるんでいると、そういった成功例、失敗例を観察することができません。
そして、歳を取ってみると思っていた未来像と違っていた、となることが多々あります。
ですから、10代のうちに20代の人と、20代のうちに30代の人とつるみ、観察しておくと、自分がその年代になったときのことをシミュレイションしやすくなります。
と、多少計算もあったりしますが、それ抜きにしても、目上の方は本当にいろんなアドヴァイスをしてくださいます。
僕自身、そのおかげで音楽的認識が180度変わった、ということも何度かあります。
目上の方と同席すると疲れますが、必ず後で役に立つときがきます。